ひげ紳士の考えるヒント

日々の感想を言葉に

パソコンのいらない男たち

 「おい。教えてくれ。これ。どうすればいいんだっけ?」

 

 一週間のうち、何度聞くかわからないセリフだ。六十歳前後の上司たちがパソコンの使い方を一向に覚えようとしない。メールの送信方法だったり、エクセルデータの印刷の仕方だったり、その他諸々。でも私はその度に自分の席を離れて彼らに根気強く親切に教える。明日こそは、明日こそは、自分たちでやってくれるだろうという淡い期待を抱きながら。

 

 コロナ禍により、社内のDX化が急速に進んだ。若い社員はそれほど問題ないが、歳を食った社員ほどDX化の流れについてこれないため、世代間ギャップによるひずみが生じている。しかも偉い人間ほどデジタルに疎いのでその影響は甚大だ。彼らはメールやSNSよりも電話を、パソコンでの作業よりも手書きを、電子データよりも紙媒体を好む。その傾向が仕事のスピード感を鈍重にし、ビジネスチャンスを逃してしまうことが多い。彼らはパソコンやスマートフォンタブレットを仕事を進める上で便利な道具だとは思っていない。むしろ敵意を抱いている。年号が令和に変わっても昭和を懐かしみ、古き良き時代の経験に頼ることでしか仕事をすることができない。

 

 どんなに惜しんでも過去はかえって来ない。これからのビジネスに過去を振り返っている余裕はない。余所見をすればコースから弾き出されるだけだ。世界は大きく変わりつつある。このままではいけないと、自分のうちなる声に注意を向けている者は気づいている。そしてすでに行動を起こしている。今動けないものは死へ向かう他ないのかもしれない。

 

 

 

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